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トップ ページ ＞ 技術情報 ＞ 横穴のある加工 
真鍮ならではの完成品加工
現在では回転工具を持つ複合ＮＣ旋盤はありふれたものになりましたが、真鍮であるがゆえに、工夫することで、機械の能力を最大限引き出し、完成品にできる加工があります。その加工をご紹介しましょう。
次の品物（写真１）が、１チャックで、完成品になります。ビビりもなく、バリもありません。１チャックなので、加工間のずれは、ありません。（もちろん工具が正確につけられている場合） この完成品加工が１２７秒／個でできます。切削油を使いませんので、脱脂のための洗浄も必要ありません。 
素材は、Ｃ３６０４（快削黄銅棒）の丸２８ｍｍで、全長が４０ｍｍです。
外側にＭ２８Ｐ１．５のねじが有効３１ｍｍ切っています。内側はＭ２０Ｐ１．５のねじが貫通です。両側とも面取りが必要です。 ちょうど真ん中に９０度間隔で丸１０ｍｍの穴が４箇所あいています。この横穴には面取りが必要です。 形としては単純なもので、一見簡単そうに見えますが、実際作ろうと思うと、結構厄介なものです。経験の浅い職人は後加工が必要といいます。バリ取りもしなければならないといいます。 
ねじは両方とも、ねじ切りバイトで切りますが、ねじを切る手順を間違うと、強烈にビビります。横穴をあけると外側も内側もバリが出ます。
南製作所では、これらがすべて解決されて、１チャックで完成品にできるのです。 上の写真１で手前側は、実は切り落とし側です（棒材から加工しています）。右側の写真２がその拡大です。よく見てください。切り落としたままです。仕上げたようになっていますが、後加工は何もしていません。 突っ切りバイトは、自作の完成バイト（ノウハウが詰まっています）を使うため、端面を仕上げながら、且つバリなしで切り落とします。内側のねじ（雌ねじ）の面取りもきれいに終わっています。 
左の写真３は、切り落とし以外の加工が終わり、まさに切り落としに入ろうとするところです。（写真撮影のため、機械は停止しています。また、見やすいように、切り粉はエアーブローでとばしています）
右側から削っていきますので、ねじの右側は、バリ取りし終わり、バリはありません。 横穴は、面取りされ、この部分のバリ取りも終わっています。 この写真３の上側に写っているのが、自作の突っ切りバイトです。 写真の左側のコレットチャックには、切り粉進入防止のためにガムテープを張っています。 
横穴の部分のねじの拡大写真（写真４）です。全くバリがありません。 この加工に使った工具
実は、この加工では、新たな工具は作っていません。
横穴をあけたドリルは、他の品物で使っている自作のジャパンドリル（穴面取り付）です。 内側のねじを切るねじ切りバイトだけは、少し改良しました。一般的なねじ切りバイトでは４０ｍｍも届かないので、胴の部分を少し削りました。真鍮の場合、鉄ほど工具の剛性は求められませんので、加工できる範囲を増やすため、市販の工具に手を加えています。 これ以外はすべて汎用工具です。 どんな横穴加工ができるか
回転工具がつけられるＮＣ旋盤は、３台ありますが、すべて主軸（スピンドル）は、５度きざみで割り出しでき、固定できます。
したがって、１チャックで加工できる範囲であれば、５度きざみであれば、どの位置でも、いくつでも正確に横穴があけられます。 小型のＮＣ旋盤では、Ｘ軸回転工具が２つありますので、穴あけ後、タッピングもできます。 また、自作のジャパンドリルを使いますので、段付ドリルを使えば、１つの回転工具で２種類の径の穴を開けることも可能です。（中心の空洞が大きくなければなりませんが） また、四角材や六角材では、チャッキングをやり直しても回転方向には、ずれませんので、 多段出しをして、より長いものに穴をたくさん開けることもできます。 ドリルをエンドミルに置き換えると
左の写真のように穴を横長にすることができます。
真鍮の品物ですが、タコＣｒ（クロム）メッキが施されています。医療用ということで丁寧には作っていますが、バフはかけていません。切り落としの際の小さなチョボ（つめを立ててやっと確認できるぐらい小さいもの）を取るための仕上げはしますが、これ以外はすべて１次加工でできてしまいます。 エンドミルを使った加工は、ほかにもできますので、エンドミルの加工（別ページ）で詳しくご説明します。 |
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